ブータンの首都であり、政治、宗教、商業の中枢です。独自の伝統を守りつつ、近代化が進む珍しい都市です。ティンプーでは、伝統様式を用いた建物に統一し、国家の個性をしっかりと維持しています。ブータンを象徴するゾンや寺院の他に、図書館、博物館、動物園、学校、映画館、銀行、商店、市場、娯楽施設などが充実しています。観光スポットが集中しており、外国人向けのレストランやホテルは数多くあり、旅行者に向けのサービスも充実しています。

ティンプーの主な観光名所

タシチョ・ゾン(Trashicchoe Dzong / タシチョ城塞)

 当初1641年に建てられ、その後1955年にティンプーが正式な首都になったことで、1965年三代目国王時代に現在の荘厳なゾンへと改修されました。
 ゾン内部は四角い中庭を囲むようにして、政府関係と寺院関係の建物に分かれています。観光客がゾン内部を見学できる時間は、平日はゾンで勤務する公務員の仕事終了時間である夕方5時(3月~10月)からと、夕方4時(11月~2月)からと決まっています。土曜日、日曜日、政府のは朝から夕方まで開放されています。夜のライトアップに照らされるタシチョゾンも昼間とは異なる美しさを醸し出しています。

メモリアル・チョルテン( Memorial Chorten / 記念仏塔 )

 ブータンでは“近代国家の父”と呼ばれる3代目国王の栄誉を称え、1974年にチベット様式を用いて建てられた白亜の仏塔です。
 朝早くから大きなマニ車を回す人や、携帯用マニ車を手にしてお経を唱えながら仏塔の周りを右回りに歩くブータン人の姿が多く見られます。参拝中に知人に会い、立ち話をしている人々の光景もよく見られ、厳粛というよりは和やかな雰囲気に包まれた仏塔です。訪ねた際はぜひブータン人に混じって、一緒に仏塔の周りを歩いてみてはいかがでしょうか。

クエンセル・ポダン( Kuensel Phodrang / 巨大仏像 )

 ティンプー市街を一望できる丘に鎮座する黄金の巨大仏像は、まるでこの場所からブータン人を見守っているかのよう。高さ51.50mの仏像は、世界で最も大きい仏像の一つです。仏像は銅で作られ、表面は金で装飾されています。内部は12万5千体の仏像が置かれており、そのうちの10万体は約20cmの仏像、2万5千体は約30cmの仏像で、どれも表面は金が施されており、12万5千体の仏像が並ぶ光景は圧巻です。この周辺には、クエンセルポダン自然公園があり、ティンプーの街を一望できる展望台までは歩いて約15分です。

チャンガンカ・ラカン( Changangkha Lhakhang / チャンガンカ寺院 )

 12世紀にチベットから来たパジョ・ドゥゴム・シクポによって建てられたこの寺院は、旅行者だけではなく、子どもの成長を願う親子の家族連れで毎日多くの参拝者がいます。高台のモティタン地区の南に位置するこの寺院は、ティンプー市街地を見下ろすように建てられています、石畳の参道を歩き、寺院を取り囲むマニ車を回しながら本堂に入るようになっています。本尊には約3mの11面観音が置かれてあります。この寺院の前庭から眺めるティンプーの街は格別で、休日には若者や家族連れが寺院の前庭で静かな時間を過ごしています。夜間のライトアップは寺院を美しく照らし出しています。

ゾーリン・チュスム( Zorig Chusum / 伝統技芸院 )

 13(チュスム)の学科に分かれ、伝統技芸を学ぶ専門学校です。ここで学生たちは仏像の彫刻や仏画、織物、刺繍などの伝統的な技法を最長6年かけて学んでいます。旅行者の見学が可能です、熱心に細かい作業をする学生たちの姿を見ることができます。海外からの留学生も在籍しています。この学校で作られた作品は、学校近くのお店で売られています。このような伝統技芸を学べる学校は、ブータン国内では2箇所あり、もう1校はタシ・ヤンチェにあります。
 ※夏と冬の休みの間は、学校は閉まっています。

伝統医療院( Traditional Medicine Institute )

 1978年に欧州の援助によって建てられたこの医療院は、伝統的な薬草を用いる治療を行っています。特に化学的な医薬品を好まない年配のブータン人は、昔から使われている薬草の効果を実感しており、毎日多くの患者さんがこの医療院を訪れています。またここでは、優秀な学生たちが薬草を使った医薬品や治療の研究もしています。旅行者も見学ができ、希望される場合は受診もできますが、午後からは医者が不在になることが多いため、平日の午前中の見学をおすすめいたします。 薬草を買うこともできま

民俗博物館( Folk Heritage Museum )

 古民家を改装して作られたこの民俗博物館は、ブータンの伝統的な農家を再現しています。一階は家畜の小屋、二階は貯蔵庫、三階は住居・台所・仏間が一般的な農家の造りとなっており、農具、機織り機、お酒アラの蒸留のかまどなど実際に使われていた物が展示されています。近代化が進む以前のブータンの伝統的な生活スタイルを見ることができ、併設されているレストランでは、ブータンの伝統料理を食べることができます。

ガゲル・ルンドゥプ・織物センター( Gagyel Lhundrup Weaving Centre )

 ティンプーの街のチャンザムト地区にあり、街に入る前に立ち寄れる織物の工房と直売所です(土曜日午後~日曜日休み)。ブータンの伝統技である機織りの施設で、女性たちが細かい柄を作るのに何本もの糸を使い器用に機織りをしている光景を見学することができます。ぴんと張った縦糸に横糸を通すという手作業を繰り返しながら、長いもので何カ月もかけて見事な布を作ります。2階に直売店にとなっており、質の良い織物の布、小物、民族衣装などを買うことができます。

ジュンシ・製紙工房( Jungshi Paper factory )

 初代のオーナーが1987年に島根県(出雲市と三隅町)で学んだ技術を活かし、日本の技術を取り入れている製紙工房です。紙を作る工程を一通り見学することができます。ここで作られる紙は少し厚みもあり、破けにくく、味わいのあるもので、併設されているギフトショップでは、押し花が入れたレターセット、ノート、ラッピングペーパーなど女性が好むデザインの品々が種類多く売られています。和紙のライトカバーなど素敵な雑貨もあり見るだけで楽しめます。

野菜市場( Vegetable Market )

 以前は週末のみ開かれたいた市場は、現在水曜日を除く毎日で朝から開かれ、より多くの人が気軽に買い物ができるようになりました。野菜や果物が色鮮やかに並び、他に干し魚、干し肉、手作りのチーズやバター、お米などが売られています。2階は、国内産の食品を扱ったお店が並びます。ティンプーの住民にとっては欠かせないものである上に、地方からも多くの人々が買い物に来ます。日本のように野菜の種類は豊富ではありませんが、調理法は違えどブータンで食べられている野菜は日本とあまり変わりません。それはブータンの農業の発展に貢献をし西岡京治氏の功績でもあります。市場をただ歩いて見て回るだけでもブータン人の食生活をうかがい知ることができます。また、橋を渡った川岸の向こう側には、週末に開かれ、仏教関係の小物や衣料品などの生活用品が売られています。

ベガナの岩絵( Begana Rock Painting )

 ティンプーの街から北へ車で約40分のところにあるこの大きな岩絵は道路沿いにあり、パドマサンババの絵が岩に色鮮やかに描かれています。タンゴ僧院やチェリ僧院に行く途中で見ることができます。岩絵の麓には、水の流れを利用して回るマニ車も見られます。

タンゴ・ゴンバ( Tango Goemba / タンゴ僧院 )

 創立は12世紀にラマ・ゲルワ・ラナンパによるもので、現在の建物は15世紀にラマ・ドゥクパ・クンレイによって建てられたものです。1616年高僧シャブドゥン・ンガワン・ナムゲルがこの寺を訪れ、近くの洞穴で瞑想しました。彼の瞑想は当時チベット軍の侵略からこの地を救ったと言われています。趣のある3重の塔と周りの建物は、18世紀8代目デシ・テンジン・ラブゲによって建てられ、19世紀にはシャブドゥン・ジグメ・チョゲルが金の屋根を取り付けました。 現在はドゥク派の仏教高等学校とし多くの学僧が学び修行しています。身内が亡くなると僧侶にお経を上げてもらいに行く寺院としてブータンでは有名です。ティンプーの街から車で約1時間弱のティンプー北部にあり、山道を約30分歩いて寺院にたどり着きます。

チェリ・ゴンバ( Cheri Goemba / タンゴ僧院 )

 瞑想場所として有名なこの僧院はシャブドゥン・ンガワン・ナムゲルが1620年に建てたもので、シャブドゥンの父の遺灰が寺院内部にある銀の仏塔に収められています。瞑想する建物が岩肌に点在しており、下から眺めても神聖な雰囲気が感じられます。ティンプーの街から車で約1時間弱のティンプー北部にあり、ティンプー川に架かる屋根付き橋を渡り、勾配がきつい斜面を約30分歩いて寺院に辿り着きます。

シムトカ・ゾン( Simtokha Dzong / シムトカ城塞 )

 ティンプー市街地から8km程離れたティンプー南部の高台に建立する17世紀のゾンです。ドチュラ峠に向かう途中で遠望するもことができ、その大きさ・威厳さを感じることができます。1629年にブータン建国の父と呼ばれる高僧シャブドゥン・ンガワン・ナムゲルによって建てられ、ブータンでは最初に建てられたゾンと言われています。チベット軍の侵略などで全壊し、現在は再建されたものです。現在は僧徒たちの学びの場として使われています。

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